![]() | 君が誰の隣りにいても 月上 ひなこ 山田 ユギ by G-Tools |
●あらすじ●
江戸友禅の新鋭作家・日比野佑一の前に偶然現れたのは六年前に別れた恋人・久生暁也。当時美術教師だった佑一は、新入生の暁也の強引なアプローチのすえ恋人になるが、彼の将来のため、結婚すると嘘をつき別れたのだ。真実を知らず佑一のことを恨む暁也は佑一のもとに通い始め、やがて同居することに。暁也への想いを抱いたまま別れた佑一は、ずっと暁也が好きだったが・・・・・・。
●感想●
月上ひなこ先生初挑戦です。きっかけは山田ユギ先生のイラスト買いとルチルなら・・・大丈夫かなと。レーベルとして信用してるとこはありますね。あとSHYとリンクスあたりは。まず大外れはないということとクオリティの高さですね。最近、ディアプラスを読むようになりましたね。テーマが統一されてるところが好きかな、透明感とか清涼感とか。ドロドロ・エロエロから離れたい時に選びますね。ルチルは創刊から毎回8割がた購入してます。好きな作家さんやイラストのものが多いせいもあるんですけど・・・・・・奇数月だけなのが寂しいけど、少数気鋭のほうがイイと思うんで我慢・我慢。
「久しぶりだね、先生」
サングラスがゆっくりと外される。
佑一は急に酸欠になったような息苦しさを感じた。
男の口元は笑っているが、じっと祐一を見つめたままの瞳は少しも笑っていない。冷たい瞳だ。
「アキ、先生と知り合いなの?」
芹葉が意外そうな顔で男と佑一を交互に見る。
「そ。だけどもう忘れられてるかもな。なんせあれから六年も経ってるし」
向けられた台詞は挑発だ。
あれから六年。
そう------もう六年も経ったのだ。
「・・・・・・忘れていないよ。久生」
佑一は男の視線を捉えたまま真実を告げた。
久生暁也。忘れるわけがない。
しかしそれは望まれた答えではなかった。
「へぇ。ちゃんと覚えていてくれてたんだ。てっきり忘れられてると思ってたよ」
佑一を傷つけ、責めるためだけで紡がれた言葉。その責めを甘んじて受け入れなければならない理由が、佑一にはある。
最初、暁也嫌いだったのですよ。なんて子供っぽい子なんだろうと。佑一と母との経緯を知らないせいもあるんだろうけど、急変した佑一のことを疑ったり何かあったのかと察する力は当時高校生の暁也には難しかったのかもしれないけど。自分が好き好き言って、堕としたから佑一の事を疑いやすかったのかなとも。無理矢理付き合ってくれてたのかなとか思っちゃうかもな〜。でも、6年も恨みが持続するってのも大変ですよ、根性要ります。それだけ根深い傷を負ったということでしょうけど。
佑一もそこまで暁也のことを避けなくても・・・と思うほどの過剰な避け方で。ただ自分から別れを切り出して捨てたような形でも裏には暁也の母が絡んでいたわけで、一方的に佑一が悪いと責める暁也を疎ましく思う気持ちを持たないのが不思議だったんですよ。
きつい口調で佑一は暁也の身勝手な行動を非難されても仕方ないと思っていたが、その利用という言葉にカチンときた。
「なんだよ。俺一人が悪者なのか?こんなことぐらい、あんたが六年前俺にしたことに比べればたいしたことないだろ」
冷たく言って、佑一を睨めつける。
「これは六年前の報復なのか?」
それは絶対に違っていたが、素直に否定してやる気にはなれなかった。
「だったらどうする?」
暁也は皮肉っぽい笑みを浮かべ、佑一に切り出す。どうせまたいつものように、大人ぶった説教でも始めるつもりなのだろうと、暁也は単純に考えていた。
だけど次の瞬間、暁也の表情は一変した。目の前に立つ佑一の顔色が、あまりにも青ざめていたからだ。
「お願いだ、暁也・・・・・・。俺にはもうあの子しかいないんだ。だからあの子だけは、俺から取り上げないでくれ」
身体を震わせながら縋るようにして訴えかけてくる佑一に、暁也は動揺する。晃を取らないでくれと懇願を繰り返す佑一の瞳には、涙まで浮かんでいた。
晃の出生の秘密から段々と佑一の隠したいドロドロとした気持ち・・・悪く言えば執念みたいなものですよね・・・が明らかになってきて。でも佑一に対する嫌悪感は全くなかったですよね。晃が素直でいい子に育ったのも佑一がたくさん愛情を注いだからで、佑一が晃と名付けた経緯にはほろっときました。言われるまで気づきませんでしたよ〜、そうかぁ〜って。健気というか、いじらしいていうか・・・紙一重なんですけどね。これで佑一が女で、別れた男の子供を人知れず育ててた・・・・・なんてなると結構怖い話になりかねません。そりゃ、暁也には言えないだろうよと。
逆にこの作品のそんなドロドロした部分が好きですねぇ。誰もが心の中にドロ〜ンとした部分があるもんです。きっと健二にもあるのよ・・・・・・多分。綺麗事ばかりでなく、こういった人の心の汚い部分や葛藤を感じられる作品の方が嘘くさくなくて。ただの暗いジメジメした話にならなかったのは晃と健二の明るさによるものが大きかったと思います。
真由利もちゃんと暁也のこと好きな気持ち、佑一を好きな気持ち・・・過去のことはちゃんと彼女にはそれぞれ成り行きだけじゃなく大事なことで。暁也を愛してたからこそ晃を生んでくれたし、佑一を愛していてくれたからこそ晃を託してくれたのだと思うんですよ。
暁也も最終的に信じてやれなかった自分を悔やんでくれたから、それまでの子供っぽい言動をゆるしてやろうと。佑一に至っては想いの深さや一途さが実って良かったなと。佑一と暁也、晃の三人家族・・・・・・きっと二人の愛情をたくさん受けて育った晃が本当のことを知ってもちゃんとわかってくれるだろう気がします。そんなことを考えさせてくれる幸せなラストですよ。最後のHシーンでは変に初々しくない、6年前に吹っ飛んじゃった二人が何となく可笑しかったです。どちらかと言えば地味めなストーリーだとは思いますが心に染みるお話でした。
●著者の近刊●






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晃の出生の秘密と名前に隠された思い。
祐一そこまで暁也好きだったんだ、って確かにこれがサクラさんの言うように祐一男でなく、女だったらちょっと怖い話になってしまうかもしれないですね。
本当のことを知った後の暁也が祐一に
「祐一はちゃんと二人のことを愛してたんだよ、だから、祐一が晃をちゃんと愛してたことは晃を見てれば良く判る……」
みたいな事を言うところが一番好きですね。
子供ってほんと正直だから、親が育てたように育つんですよね祐一がどれだけ晃を可愛がっていたかなんて、暁也の言うように晃を見てれば一番良くわかるじゃないですか。
この先もずっとみんなが幸せな気持ちで暮らせるように願わずに居られません。
TBさせていただきます
ではでは〜vv
この後、晃の苦悩の様子が11月発売のルチルの新作で読めるそうです。
お相手は予想通り、健二です。
暁也と祐一のその後も垣間見れそうですし、楽しみです!
では、また!