2005年08月13日

夜が蘇る(英田 サキ/山田 ユギ)

4829622954夜が蘇る
英田 サキ 山田 ユギ

てのひらの涙 灼熱の闇に魅せられて 情熱の甘い棘 茉莉花茶の魔法 ただ一人の男

by G-Tools

●あらすじ●
情人を亡くし、虚ろな日々を過ごす元警視の探偵・秋津は、極道の久我に口説かれる。「もっと俺を受け入れるんだ。できるだろう?」組み伏せられた秋津は、自分の身体に潜む雌の部分が、逞しい雄を求めて疼き出すのを感じた。けれども、情人を忘れられない。そしてなにより、失う悲しみにはもう耐えられない。必死で拒むが、共に事件を追ううちに、傲慢なくせに優しい久我に心かき乱されて……。悦楽に溺れる夜が今、蘇る──傷を抱えた男たちの、あやうい恋情。

●感想●
まさに、「夜が蘇る」そのタイトルが如し。巧いなぁ〜と関心。
ちょっと乙女が入った攻の微妙なバランスと、女王様気質の受。英田先生のこういった話、大好きです。山田ユギ先生のイラストもピッタリで大満足。しかもヤクザ×元刑事の探偵、過去に傷持つクールビューティー・・・とかなりそそる設定。期待度大でした。

「焦らすな・・・・・・。早く挿れろよ・・・・・・」
そう囁くと槙がごくりと唾を飲み込み、サイドテーブルに用意していたスキンに手を伸ばした。行為に最中に男がゴムを着ける姿というのはどこか滑稽で、見ていると妙に可笑しな気分になってくる。
身体は興奮していても、頭の芯は嫌になるほど冷静だった。秋津は早くしろというふうに槙の腰に膝頭をすり寄せながら、冷めた気持ちで考えていた。
あの男でないのなら、誰でも同じなのだ。ただ快感を求めるだけなら、相手は誰でもいい。単なる肉体の接触と結合。そこに感情の介在する余地はない。
ゴムを着け終えた槙が再び秋津に覆い被さり、高ぶりをそこにあてがう。だが力を抜いて熱い塊を受け入れようとした次の瞬間、槙の身体はいきなりベットの下へと転がり落ちてしまった。久我が乱暴に突き落としたのだ。
「何するんですか、久我さん・・・・・・っ」
「もういい。やめた」
久我の突然の介入に、槙が「はあ?」と目を見開く。
「やめって、今からでしょうが。何をアホなこと---」
「いいって言ってんのが聞こえねぇのか。さっさとここから出て行け」

設定が大阪って事で標準語と関西弁が混じってます。久我と秋津は東京から来た人間なので二人の会話は標準語。ここだけの登場の色事師の槙は大阪弁、このシーンが結構好きですね。秋津の潔さとか、二人の関係がここから動く予感っぽいモノが感じられて。後々の久我の告白でこの場面が彼にとって大事な決断の瞬間でもあったわけだし。そういった伏線の引き方が英田先生は巧い。”ぁ〜、そこがそこに繋がってるから、こうなるのね”みたいな。その辺のことがこういった話だと生きてくるわけで。「エス」ほどは難しくなく、読みやすい。「エス」は独特の世界観と複雑さが大好きな作品ではありますが。

「そんなに苦しいのか」
やめてくれ。そんな目で、俺を見ないでくれ。自分の一番深いところから、抑えきれない何かが溢れ出してくる。
そう思った途端、本当に胸の奥から熱いものがせり上がってきて、秋津はきつく目を閉じた。
「苦しい・・・・・・、苦しいんだ・・・・・・」
苦しい。胸が。心が。
お前のその視線が。この暖かな腕が・・・・・・。
秋津の眦にはいつしか涙がにじんでいた。それに気づいた久我が、透明の雫を自分の唇で奪い取る。
「もうこれ以上、耐えられねぇのか?」
久我の優しい声に、縋るように頷いた。もう無理だった。このままでは、みっともなく声を上げて泣き出してしまう。自分を見失ってしまう。
久我はまるで、我が儘を言う子供でも見るような顔で苦笑いしながら、ゆっくりと自分のものを引き抜いた。
「久我・・・・・・?」

元警官で現在探偵の秋津、結構余分なとこに首突っ込んで自ら危険にさらされてる気もしないではないのですが・・・・・・その辺も秋津の良さなのか?
羽生と久我は似ていないから秋津は羽生を忘れられないかも知れないし、似ていない人を好きになるからこそ吹っ切れるかも知れない。後は久我の度量次第なのでしょうね、彼の中での葛藤の方が大きいのかも知れないな。
久我のセリフが下品ぎりぎりのラインでセーフかな。好きなタイプなんだけど、それ以上言うな!と思うこともしばしば。関西系のノリなのか。何度も秋津をモノにする機会があるのに秋津に逃げを許す久我。余裕というよりも秋津に対する真面目さや真摯さを感じました。
ちょっと相手が香港マフィアと大きすぎて現実離れを感じたところがマイナス点かな。あんまり相手が大きすぎると嘘くささが目立ってしまう気がするのです。
秋津36歳×久我32歳、いいじゃないですか〜。秋津の年がバレた時、確かに”えっ?”とは思いましたが。次回作は10代が主人公らしいので、どうなるのか。若いなりの焦れったさや真っ直ぐさよりも、大人の男同士の危うい関係や言葉遊びなんかを好む自分としては触手が伸びないのですが・・・・・・それでも英田先生のネームバリューで取りあえず読んでしまうんだろうなぁ〜。








posted by 櫻井サクラ at 20:41| Comment(4) | TrackBack(3) | ●英田 サキ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめましてこんにちは
私も今日これ読み終わりました、確かにエスより読み易いですね〜。

この先久我と関わることで秋津はどう変わっていくのでしょうね、少しでも彼のこれからが平穏であれば言いと思います。

TBさせていただきました
ではでは
Posted by Jura at 2005年08月14日 15:47
こんにちは。
juraさんのブログからトラックバックをたどってきました。
以前「櫻丘高校〜」の記事にTBさせていただいたのですが、そちらのブログは閉鎖してしまいまして、今はライブドアでやっております。

久我の言葉は、いちいち恥ずかしいけど、それがまた快感だったりします。(笑)

TBさせてくださいね。
よろしくお願いします。
Posted by あすた at 2005年08月20日 11:42
こんにちは。愛と薔薇の日々の光世です。
ヤクザスキーのBL小説リストに載せるあらすじを探していましたら櫻井さんの所にたくさんある!と勝手に引用(といいますか、ぶっちゃけコピペです…)させていただきました。
他作品も引用とともにTBさせていただきますね。よろしければこちらからもTBしてください。
それと、ヤクザスキーからブクマさせていただいて良いでしょうか?いろいろわがまま言いますが、宜しくお願いします。
Posted by 光世 at 2006年02月04日 15:49
私も本のあらすじを勝手に引用させてもらってますので・・・ただ、そそっかしいので誤字脱字があったら御免なさいね!お役に立てるのなら、どうぞ・・・。

ブックマークいいですよ〜っていうか、是非・お願いします!です。嬉しいです。

ヤクザが主人公で・・・と思い浮かべたんですケド・・・う〜ん---たくさんありますものねぇ。コレ!とピンと来たら連絡しますね。

コメント、TBありがとうございました!
Posted by 櫻井サクラ at 2006年02月05日 12:42
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