2006年01月06日

ひと目会ったら恋に花(英田 サキ/笹生 コーイチ)


泣ける ★★★☆☆
笑える ★★★☆☆
ドキドキ★★☆☆☆
ほのぼの★★★☆☆
満足度 ★★★☆☆
●あらすじ●

一流商社に勤める幸村匡樹は、取引先とのトラブルを起こして左遷されてしまう。その上、火事で住む場所を失い、「桂花荘」という古ぼけた下宿屋へ引っ越すハメに。住人はエロ漫画家に変人の大学教授、アイドル顔の鳶職人と超個性派しかも超美形ばかり。ご近所からは”イケメン荘”と呼ばれるほどだ。中でも元ホストのラーメン屋、中馬一成は、歓迎会で酔った幸村に濃厚なキスをしてきて・・・!?

●感想●

ここ最近コンスタントに新作を発表してる英田先生・・・ですが作品自体は賛否両論なのでしょうか。どうしてもエスと比べてしまうところがあって、夜が蘇るの様な似た世界観のものは受け入れられやすいみたいだけど・・・・・・。

この香りは確か------。
「何やってんだ?」
ぶっきらぼうな男の声が聞こえ、幸村は驚いて顔を上げた。いつの間に来たのか、すぐ隣に白いTシャツとジーンズ姿の男が立っていて、訝しげに幸村の手元を覗きこんでいる。幸村は慌てて立ち上がり、「こんにちは」と頭を下げた。ここの住人に違いない。
「その花がどうかしたのか?」
低い声で問われ、つい及び腰になってしまう。妙に迫力のある男なのだ。筋骨隆々というほどマッチョな感じではないが、背が高く、広い肩幅はがっしりとしており、胸板は厚い。Tシャツから覗く二の腕もたくましく、見るからに鍛えていそうな体つきだった。
それに顎や鼻の下に濃い無精髭を生やしていて、目つきも険しく、よく言えばワイルド、悪く言えば粗野そうな感じで、とにかく全身から男臭さがプンプンと漂っている。
「・・・・・・いえ、なんの花かと思って」
怖々答えると、男は「金木犀だ」と素っ気なく花の名前を口にした。
「あ、やっぱり金木犀ですか」
香りには馴染みがあっても、花までじっくり見たことはなかった。
「あんた、どうしてここにいるんだ?」

幸村は面白くて興味深い人だったんで、彼と中馬のやりとりをもっと読みたかったんですよ〜。それが凄く残念でたらーっ(汗)凄く深い傷を持ってるのに頑張ってて、不器用で臆病で。中馬に告白されても、グルグル考えたり悩んだりと。ゲイで好みの男に告白されてるのに、自分はもう恋はしないと思ってたりと謎も多くて。嫌いな相手先の上司に強姦されそうになって怪我を負わせて左遷、その上住んでたアパートが火事で追い出され・・・・・・それだけでも充分不幸なのに、過去がバレてくたびに不幸が増えていって、もう気の毒で。それでも頑張って仕事しようとするし、投げやりにならずに健気に生きてるんですよね。

「中馬くん」
「ん?」
「・・・・・・君は、ほ、本気なのかな?」
「何が?」
「その、俺のことが、好きっていうの」
中馬の表情が険しくなった。
「そう言っただろ?真剣なつき合いを考えて欲しいって。俺、あんたにちゃんと言ったよな?ひょっとして信じてなかったのか?」
明らかに不機嫌そうな中馬を見て、幸村は狼狽えた。
「ご、ごめん、そういうわけじゃ・・・・・・っ。ただ、いきなりのことだったし、あれ以来、君もそういう態度を見せなかったから、もしかすると、からかわれてのかなって・・・・・・」
中馬が椅子から立ち上がった。双眸には強い怒りが垣間見える。ただでさえ迫力のある男なので、怒るとさらに怖く見えてしまう。
「俺はずっと、あんたが考えてくれてるんだと思ってたよ。俺だって急すぎる告白だってわかってたから、振られてもしょうがねぇって覚悟はできてたけど。・・・・・・でもまさか、振られる以前に、まともに取り合ってもらえなかったとはな」
中馬は食器をカウンターに置くと、そのまま食堂から出て行ってしまった。
やってしまった------。
ひとり残された幸村は、頭を抱えて溜め息をついた。完全に中馬を傷つけた。全面的に自分が悪い。

ストーリーとしては面白かったです。ただ下宿ということもあって同居人や他の登場人物も多く、しかもそれぞれに複雑な事情を抱えていたりと少しゴチャゴチャとした感じはあります。ただでさえ、主人公の二人に関する人間関係やここまでに至る経緯も入り組んでいるのに・・・・・・。単純に幸村と中馬だけを追っていって欲しかったですね。確かに他の方々もとても魅力的な面々で脇役にしておくのは勿体ないのですが。幸村が仕事先でどう対処して頑張ったのかとか、真由子とのことはキッチリ自分で片を付けて欲しかったとか本筋の二人に関して宙ぶらりんになってしまった気がするんですよ。二人が結ばれてメデタシメデタシ・・・・・・じゃなくてまだまだ問題山積みなのでは?と思っちゃったんですよねぇ〜。個人的には櫻井・・・サクラと呼ばれているのも他人とも思えない・・・は冗談ですが、彼に興味がありますねぇ。だぶん今回一番素状が知れない人。幸村の言う通り、何かあったからこそこんな若さで下宿を切り盛りしてるんだと思うんですけど。確かにシリーズ化でもして次は楡崎×九鬼でも良し、それはそれで楽しみなんですけどやっぱりこの作品は作品で主人公の二人に最後までスポットライトを当てて欲しかったと。
でも、健気に中馬に尽くそうとする幸村や、不器用ながら過去の不幸体験から卑屈になりがちな幸村を中馬が諭したりとする場面などはホロッとくるものがあったりといいお話だったんです。だからこそ、残念なのよねぇ・・・・・・。







bk1で買う

●著者の他刊:英田 サキ●



●著者の他刊:笹生 コーイチ●



ランキング UP!にご協力を!!→にほんブログ村 本ブログへ

posted by 櫻井サクラ at 14:52| Comment(2) | TrackBack(1) | ●英田 サキ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
サクラさんの感想っていつも鋭いなと思って感心して読むのですが、おっしゃるとおり確かに他の住人のアクが強くて主人公二人の印象が薄くなった感じはありますね。

それぞれ妙に気になる人たちばかりで、続編(番外編なのか??)は楡崎と九鬼の話だとか、シリーズ化とかしたりするのでしょうか?

櫻井さんも確かになぞです。
Posted by Jura at 2006年02月28日 14:05
こんにちは、Juraさん。

>それぞれ妙に気になる人たちばかりで、続編(番外編なのか??)は楡崎と九鬼の話だとか、シリーズ化とかしたりするのでしょうか?

小説花丸に続編が載ってましたよ。お題が”オモチャ”・・・しかもタイトルが「私に部屋にいらっしゃい」って。色々濃くて?面白かったですよ。こっちの二人のが好きかも・・・。

>櫻井さんも確かになぞです。

一瞬、私が謎なのかと・・・あぁ勘違い。
海外に行ってて帰ってくるという方とかも気になるんですけど・・・すべてカップルになってしまうのも昔はあり得ない!とか嫌だったのですが最近はそれなりに楽しんじゃえ!と。かなり毒されてるなぁ〜と思います。
Posted by 櫻井サクラ at 2006年02月28日 16:41
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/11386907

この記事へのトラックバック

[詞]ひと目会ったら恋に花/英田サキ
Excerpt: 取引先の部長に襲われそうになり相手を殴ってしまった、怪我をさせた事を理由に契約を白紙に戻されただけでなく、左遷までされた幸村匡樹(ユキムラ コウキ) なのに悪い事は重なる物で、不幸はそれだけでは終わら...
Weblog: kotonone::詞の音
Tracked: 2006-02-28 13:40